2013年8月13日火曜日

No.68・69『地域振興と観光産業のかかわりについて2013』9・10月号

No.68『地域振興と観光産業のかかわりについて2013』9月号 2013.0825

【NHKの偏向】 Biased coverage of NHK
8/23夕刊三重掲載時改題【エネルギーコストに左右される日本の貿易】オリジナル

 1兆240億円。これは昭和54年(1979)以来、7月としては過去最高の貿易赤字額だそうだ。
 NHKは8/19、円安で輸出額は増えるも、それ以上に燃料輸入が嵩むとする財務省の弁を報じている。画面には、黒字から赤字に転落した平成22年(2010)以降の棒グラフ。これではまるで原発を再開させなければ、いつまでもこの状態が続くぞと暗に示唆しているかのようだ。
 一体いつから日本の貿易収支は、エネルギーコストに左右される程に脆弱になったのか。報道によると、今や輸出で外貨を稼ぐのは自動車とペットボトルの原料だけのようだ。このような国際競争力の低下を、再稼働問題に転化させようとするのは稚拙である。 
 想起するのは、1ドルが360円もした60年代の高度経済成長期だ。まだこの頃には商業原発は一つも無かった。代わりに有ったのは、追いつけ追い越せの勤勉性と向上心、町工場や個人商店のバイタリティだ。そして、これらは人口増加による内需の拡大にも、力強く支えられていたのである。

【今年前半の出入国較差】Emigration and immigration the difference in the number, the first half of this year

 7/24にJNTOから、今年前半1月から6月までの観光出入国数(推計値)が公表された。
 一般紙の報道によると、円安の流れを受けてインバウンドは増えたとある。
 しかし、その数は495万4600人にとどまり、アウトバウンドは中国渡航が激減したとはいえ、いまだ825万6000人もいるのである。
 その較差は1.7倍。相変わらず外貨獲得よりも、出て行く『円』の方が多いようだ。
 注目すべきはインバウンド増加率の高い国である。とりわけ上位三カ国は、なぜか経団連の、ポスト中国アジア進出ルートと一致する。タイが52.7%、ベトナムが52.1%、インドネシアが50.1%の急伸だ。何れも名目GNI(※1)が低い国であるにも関わらずである。本当に観光客なのだろうか。
 ちなみに、日本との出入国較差が3.35倍(※2)だった中国からの観光客は、前年比▲27%、中国よりも較差が大きい(4.57倍)米国からの増加率は、僅か9.9%にとどまっている。
 また、韓国からの観光客は、意外な事に前年比38.4%の増加である。登山ブームだから、だけだろうか。

(※1)『地域振興と観光産業のかかわりについて2013』3月号補足【JNTOの集計による、2012年の訪日外客数 多い国順】参照
http://ohmss700.blogspot.com/2013/03/20133_6.html

(※2)付録2『地域振興と観光産業のかかわりについて2013』Full version【Emigration and immigration the difference in the number of bilateral】参照
http://ohmss700.blogspot.com/2013/08/22013.html

【理不尽な改正耐震改修促進法】 Unfair amendment retrofitting Promotion Act

 8/14付の毎日新聞電子版に、5月に成立した『改正耐震改修促進法』問題の記事が載っていた。1981年以前の基準で建設された延べ床面積5000平方メートル以上の旅館やホテル、病院、デパートなどの建築物に対する、診断と改修工事の義務付けの件である。期限は2015年の末。やらなければ100万円以下の罰則付きである。国内で対象となるのは約1万3000棟との見通しで、そのうち旅館やホテルは1000軒を超えるそうだ。『地域振興と観光産業のかかわりについて』4月号に書いた『自民党観光産業振興議員連盟』に、折衝力は無かったようである。
 検査に約600万、改修に2、3億円。
 事業者負担は33%から88.5%と、自治体の支援力によってかなりの差が出る。地銀も人口減少社会における集客リスクを承知の上で、どこまで融資に動くか分からない。
 記事は大量廃業の懸念にも触れているが、地域経済と雇用を守りたい自治体側も大変だ。約120軒中14施設が該当する熱海市の場合、10億円を超える可能性があるという。これは年間税収の一割にも相当するそうだ。
 それにしても腑に落ちない。前にも書いたが、同じ顧客から儲けているにも関わらず旅行業界には全くリスクがない。診断を受けなかったところは、2015年以降は避ければいいだけの事なのだ。そして建設業界にとっては商機到来である。たとえそれが廃業解体にしてもだ。どちらも所轄は国土交通省である。が、それだけに、その末席にある観光庁は抗えないのである。

【定員稼働率】Bed occupancy rate

 昨年の10月に日観連と国観連が合併した、日本旅館協会の会員数は僅か3381軒である。下記に表した全国のホテル旅館数の一割にも満たない。
 この協会の集計によると、昨年度2012年3月から2013年2月一年間の、全国平均の定員稼働率(ベッド稼働率)は33.6%になる。という事は、七割近くは需要なしという事になる。製造業ならば、この需給バランスは在庫の三分の二が過剰だという事だ。
 この33.6%は、実日数に換算してみると123日に相当する。これは年間の土日104日に、年間祝日15日、そして盆暮れ足した、稼ぎどき日数に偶然にも一致する。これを下回るのが北海道地区の29.3%、東北地区29.5%、北陸信越地区32.6%、中部地区33.2%、中国地区31.9%、四国地区33.0%となる。これは稼ぎどき123日間の稼働が芳しくないという事だ。上回ったのは、関東地区の36.4%、関西地区39.7%、九州地区37.1%の三地区のみである。とはいうものの、こちらも平日稼働が幾分マシという程度である。

[厚労省/全国のホテル旅館数(11/3報道)]

     2007年  2008年  2009年  2010年  2011年
ホテル  9422軒  9603軒  9688軒  9720軒  9863軒
旅 館 52295軒 50846軒 48966軒 46906軒 46196軒
合 計 61717軒 60449軒 58654軒 56626軒 56659軒

 なお、例年通りならば、2012年の数字は10月には公開される筈である。 

【中部国際空港】 Chubu International Airport

 以下は、今夏の出国ピークの日と利用者数である。

中部国際空港は8/9の約8400人。人気渡航先は韓国、東南アジア、中国の順。

関西国際空港は8/10の約2万3200人。人気渡航先は韓国、東南アジア、台湾、中国の順。

成田国際空港は8/10の約4万8000人。ヨーロッパやハワイ行きが人気との事。

 何故こんなに差が出るのか。それは今のセントレア(中部国際空港)が、余りにもアジア偏重になっているからではないか。2005年の開港以来、僅か半年で無くなったシカゴ線をはじめ、クアラルンプール線、ケアンズ線、ドバイ線、パリ線と次々失われた結果、今やアジア以外の路線は国際線全体の僅か8%にしかならないのである。
 しかも米国のハブ空港も、JFKやロスではなく財政破産都市デトロイトである。豊田市と姉妹都市だからだろうか。
 しかしこれでは、GNI(国民総所得)の高い欧米人観光客が三重に到達するわけがない。8/3付の経済紙にも載っていたが、空港でインバウンドに直撃インタビューを行い、面白そうなら旅行中密着取材を敢行する、テレビ東京の『YOUは何しに日本へ?』も中部国際空港はトヨタ関連のビジネス客が多くて取材にならないとある。

[中部国際空港2013年8月] 

北京 週19便   香港 週28便      マニラ 週14便 
上海 週49便   台北 週25便     バンコク 週12便
長春 週 2便   仁川 週42便      ハノイ 週 6便
瀋陽 週 2便   金浦 週 7便    ホーチミン 週 3便
天津 週 7便   釜山 週 7便   シンガポール 週 7便
大連 週 7便   済州 週 3便 
青島 週 7便            フランクフルト 週 7便
西安 週 7便              ヘルシンキ 週 7便
成都 週 7便  ホノルル週14便     アブダビ 週 5便
広州 週 7便   グアム週21便    デトロイト 週 7便

 こうなると建設的提案としては、関空や成田との競合ではなく連携が必要となるのだが、言うは易しの行うは難しで、ヒコーキ屋さんとしては出入国ともに同じ航空会社、同じ空港でと囲い込みたいのが道理である。
 しかし、成田から入国して福岡から出国するゴールデンルートのように、地域コンテンツに国際的知名度があれば連携増加も不可能な話ではない。収益性が見込める需要が増えれば、再就航や新規参入の望みも増える筈だ。
 その為には中部経済圏だけの囲い込みをやめて、紀伊半島東部に位置する三重県を活用し、紀伊半島文化観光圏をアピールして関空との連携を開始すべきである。
 実はこの話は、既に三年前の『Go West』打ち合わせの際にセントレアの会議室で、営業部長以下2名にもプレゼンした。そして関西広域機構(連合ではない)の文化振興部が興味を持った事もお話しした。
 来年は、紀伊半島三県にまたがる世界遺産『熊野古道』の10周年。
 本気で二本目の滑走路を実現したいのならば、既存路線だけで間に合ってしまう『昇龍道』よりもプラス要因になる。エアポートラインをはじめ、紀伊半島にある交通機関の収益性も向上するに違いない。
 セントレアの名の所以でもある日本の中央たる、地の利が活かし切れてはいない以上、ここに再びご提案する次第である。

【猛暑厳冬対策】 Measures of extreme climatic period

 三重県から紀伊半島、紀伊半島から日本列島、日本列島からアジア、アジアから世界へと視点を拡げていくと次は宇宙となる。といっても大風呂敷を広げて宇宙観光という訳ではない。古気候学的気候変動の話である。1645年から1715年迄続いたマウンダー極小期の事だ。
 この時代、多くの高緯度の国は寒冷地となり、テムズ川をしばしば凍らせた事でも知られている。地球全体が、現在とは少し異なる気候だったのだ。
 NHKの科学番組によると、そのメカニズムは現代科学が解いているそうだ。磁場反転で太陽風が弱まる時期には、太陽系に到達する銀河宇宙線が増え、これが大気圏と衝突して水蒸気を増加させるとある。
 そういえば昨年、太陽が磁場反転を開始したが、11年サイクルで起きる今回のこれは、マイナス極が無くなったままの四極構造となり、これまでとは違う様相を帯びている。最新のNASA広報によると、完全反転は2、3ヶ月後だそうだが、これはマウンダー極小期の始まりの時期に類似性をみるようである。
 しかし、当時と現代では大気組成が違う筈だ。18世紀後半の産業革命以来、21世紀の大気圏は非常に温暖化しているからである。これは大気圏の外と中との温度差が大きくなるという事であり、大気の循環がダイナミックとなって暑い寒いが極端化、スーパーセルやダウンバーストによる豪雨豪雪、竜巻、スーパー台風が発生しやすくなるという事だ。
 防災対策は、決して大地震や大津波ばかりに偏重しないように心掛けるべきである。
 さて、そんな時代における観光だが、大かたの観光客がわざわざ好き好んで猛暑厳冬、豪雨豪雪地帯に行くことはない以上、年間通じてコンスタントに集客を図るのならば、設備投資や全天候型施設の活用といったアイデアが必要となる。
 といえば夏の屋外ならば、噴霧装置や散水機といった発想もあるだろう。しかしイベント会場ならばまだしも、京都の川床のように、それ自体が集客コンテンツとならなければ費用対効果面では疑問である。
 それよりも、既存のハードウェアの活用として県内市内すべての博物館や文化施設の垣根を下げてみてはどうだろうか?冷暖房完備の避暑スポット、ウォームスポットに位置づけて導線を紹介するのである。これを継続的に実施して広く内外に広報すれば、各館の集客面、町のおもてなし面、教育文化啓蒙面、シティプロモーション面においてプラスになる。万一、集客効果がなかった場合でも、それはお客さんとソフトウェアとの間に『ギャップ』が有る事を気づかせてくれる点で有意義だといえる。

【失われた人類共通の大志】 The human race has lost a great desire

 一触即発の危機をはらんだ米ソ冷戦時代。それでもまだ20世紀後半には、未来に対する『人類共通の大志』があった。その根底には、交通、宇宙、都市計画分野に関わる最先端テクノロジーヘの信奉が輝いていたのである。当時、工業先進国の大人たちはその進歩の帰結として、21世紀の初頭には車が当たり前のように宙を走り、月のみならず火星や木星圏にも足跡を残し、居住空間は海や空にさえ拡がって行くだろうと信じていた。
 だが、テクノロジーの発達による公害や、資源枯渇などのリスクが理解され始めると慎重になった。米国主導だった『人類共通の大志』は、泥沼ベトナム戦争とアポロ計画による財政逼迫で急速にに鳴りをひそめ、同時発達した電算機の進歩をもって、後年の市場経済肥大化を許す事になるのである。
 この頃の日本のモノづくりは、模倣から始まった終戦直後の『日本製の粗悪品』の頃を卒業し、創意工夫に付加価値、改善を重ねた結果、ついには世界市場を席捲するブランドにまで至っていた。戦争特需と貿易摩擦から『エコノミックアニマル』と揶揄されるも、その合理的な日本式ビジネススタイルは、のちに大いに珍重されたのである。
 批判かわしとおごりの中で、日本は求められるがままに秘蔵技術を世界に教示していった。今にちの後進国のモノづくりが、基礎研究や試行錯誤なしで短期間で追いつく事ができたのは、その結果であると言っても過言ではない。だが、技術移転を得た国々では、もう日本の手を借りる必要がないと判断すると、これまで制御してきたナショナリズムを次々解き放った。そのロケット切り離しの方便が、双方ご都合主義にまみれた歴史認識の違いである。これは民族主義の台頭や宗教対立と共に『人類共通の大志』を葬るのに充分な威力をみせた。が、それでは近い将来、被太平洋戦争世代がなくなった頃においても、尚かつ蒸し返しの挙句に『人類共通の大志』を持ち得ないとすればどうだろう。こうなるともう人の世も、そう長くはないに違いない。
 それゆえに21世紀の『人類共通の大志』は、相互文化の理解を促進する国際観光しかないと考える。『文化力競争』で人気を集める事は、とりわけマイノリティにとっては、軍事力競争よりも率先すべき安全保障でもあるからだ。
 今年、世界人口は72億人に達した。急速な少子高齢化による人口減少社会にある我が国の人口は、その僅か1.7%しかないのである。

【O.H.M.S.S.鈴の音レポート0803】O.H.M.S.S.report "The sound of the SUZUNONE"

 『まつりごと色』を排した市民のまつり『七夕まつり☆鈴の音市』。今年で11回目の開催です。
 参院選の影響で、近隣都市のまつりが重複開催となったにも関わらず、その入込み数は昨年並の2万7000人。この数字は、私達が2010年にセントレアのイベントホールを2日間タダで借り切って集めた6万7000人(テナントへの経済波及効果推定6700万円プラス)よりも効率がいいように思います。何しろこのまつりは夜祭りなので、開催時間はたったの4時間半しかないのですから。
 さて、今夏の『O.H.M.S.S.地域交流ブース』。そのハイライトは二つ。一つは今回初参加となった松阪市教育委員会文化課の『長谷川邸』プロモーション、もう一つはスタッフ一新となった紀北町観光協会と、ゆるキャラ『きーほくん』の華麗なダンスステップとなります。
 残念ながら今回は、平城京も明和町も地元のイベントと重なり、鳥羽市も白石持ちで不在。『奈良はおもしろい夏号』『平城京歴史館』『あきののゆ』『鳥羽城』『斎宮』のパンフレットは、『松浦武四郎記念館』『歴史民俗資料館』『文化財センター』のパンフレットと共にO.H.M.S.S.での配布となり、『本居宣長記念館』は学芸員さんが新刊の読本を、津市は着ぐるみメーカーのNEXT2000が、ゆるキャラグッズの販売でPRとなりました。
 勿論、紀伊半島文化観光圏形成を目的とする情報共有と、拡散の為の宣材交換も無事完了です。(これがO.H.M.S.S.の基本です)。
 似顔絵画伯も、今夏は35枚の新記録となりました。お疲れ様でした。
 入れ替わり立ち替わりブースにお出でいただきました、副市長、市当局各部課長、各新聞社にも厚く御礼申し上げます。
 それにしても、市民の利用促進に向けた格好のステージなのに、松阪市内の指定管理業者の参加が全くないのが不思議です。
 その理由としてよく耳にするのが『予算が無いから』『時間外だから』。しかしテキ屋を除く大多数の出展者は手弁当の持ち出しポケットマネーであり、行政マンも休日返上の手当なしで来ています。 情報とコネクトリンクがあるからです。
 天は自ら助くる者を助く。
 予算カットで泣き言を並べる前に、成すべき事が有る筈だと思います。

【東欧諸国】Eastern European countries

 8/22から東欧入りしている外務大臣。8/25にはウクライナ入りしてチェルノブイリの石棺視察、翌8/26には放射性物質の拡散調査衛星を、ウクライナ製ロケットで打ち上げる為の計画合意をおこなっている。
 現在フクシマは、ストロンチウムなどが含まれる大量の汚染水流出問題と共に、甲状腺がん発症問題が顕在化し始めてきており、8/21の報道によると確定者は18名、疑いのある者も25名になった。だが、2、3年では発症が早すぎるとする福島県立医大は、まだ原発由来ではないとの立場を崩してはいない。
 しかし、過去の報道と比べると、今回はチェルノブイリでは四年かかったと明言するのは避けている。
 なぜだろう。
 それは、チェルノブイリで甲状腺がん発症数が一挙に増え始めた年が、ベルリンの壁崩壊の年と一致するからだ。つまり、当時の東欧はペレストロイカとグラスノスチの洗礼を受けた体制転換の真っただ中にあり、その初期にあった1986年から1990年までの数字が控え目になるのは、政治的にみて当然の事だからである。
 8/25のNHKニュースは、ウクライナの現在進行形の課題として、約200万人もの心臓や血管の病気、慢性疾患を対象とした無償検診も報じていた。石棺方式で国をあげての封じ込め策を採った、チェルノブイリの経験や知見が、最大限フクシマに活かされれば幸いである。
 報道にはないが、これに先立つこと三日前、外相は協力10周年目を迎える『V4+日本』の協議でハンガリーにも寄っている。V4とは、ポーランド、チェコとスロバキア、そしてハンガリーによって1991年ヴィシェグラードで形成されたものだ。日本は2004年から、対話と協力で関係を持つようになった。今年6/16にワルシャワで行われた首脳会談には安倍総理が初めて出席、共同声明『21世紀に向けた共通の価値に基づくパートナーシップ』として、安保、経済、科学技術、イノベーション分野における協力と、人的交流を促進する『2014年V4+日本』を掲げ、将来対話を約束して結んでいる。だがその主旨は、中国牽制や北朝鮮外交パイプも含め、東南アジア経産進出作戦と何ら代わり映えするものではない。
 これがインバウンドにまで結び付くかは疑問である。
 国連世界観光機関の統計資料集によると、人口約545万人のスロバキア行きの日本からの年間アウトバウンド数は、五年間平均(2007から2011)で1万1796人、人口約3807万人のポーランド行きは4万0797人、人口約1037万人のチェコ行きは12万5871人である。しかし134社もの日本企業が進出しているにもかかわらず、人口約998万6000人のハンガリー行きについては掲載がない。また、いずれの国も主要29カ国の範疇にはない為、日本行きのインバウンド数も分からない。JNTO統計も『その他ヨーロッパ』扱いである。
 ちなみに、人口約4571万人のウクライナ行きの日本からの年間アウトバウンド数は、五年間平均で6514人である。フクシマが事故を起こした2011年は、対前年比で22.22%もの急伸をみせている。

【名古屋税関の貿易収支】 Trade balance of Nagoya Customs

 先に書いた、財務省8/19発表の日本の貿易収支7月は、輸出額5兆9620億円に対して輸入額は6兆9860億円で、差し引き1兆240億円の赤字だった。
 だが、名古屋税関8/20発表の管内7月の貿易収支は、輸出額1兆4579億円に対して輸入額は8616億円で、差し引き5963億円の黒字となっている。
 と言う事は、産油国の値上げや円安などで火力発電用の液化天然ガスが、前年同月比5.5%程度上がっても、黒字収支は可能であるという事だ。しかも稼働原発ゼロで、電力不足による停電も発生していないのである。
 現在日本には、函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄と九つの税関管轄区がある。収支の足を引っ張っているのは何処の管轄区なのだろうか。

日本全体7月
輸出額5兆9620億円
輸入額6兆9860億円
  ▲1兆0240億円

名古屋税関
輸出額1兆4579億円 全体に占める割合は24.45%もある。
輸入額  8616億円 全体に占める割合は12.33%しかない。
     5963億円

 ところで、試験飛行が延期となったMRJの納入は更に四年を要する事となった。初納入は、開発着手からちょうど10年目となる2017年の予定だそうだ。
 だが、このちっこい国産旅客機は年間1000機売ったとしても、3兆5000億円にしかならない。『正月号』に詳しく書いたが、これは震災前2012年の年間自動車産業の、一割にも満たないのである。

http://ohmss700.blogspot.com/2012/12/no602013.html

【レベル3とTPP】 Level 3 and TPP

 現在TPP交渉で大事な時期なのは分かる。だが、原子力規制委員会の事務局案どおり、フクシマから大量に漏出した汚染水の行方は不明、だから『レベル3』では、かえって隙を突かれるだけではないか。8/29の朝刊では、海側トレンチ付近での漏れについては評価しなかったとも報じている。
 どうやら敷地外汚染の実態調査や公表については、TPP交渉妥結までは引っ張る算段のようだ。そういえば、外務省経済局が毎月公表していた『主要国・輸出入等関連措置』も、7/1以来ストップしたままである。
 しかしながら、全容が明らかになった時点でレベル4は不可避である。しかも相手はセシウムのように簡単に計測できない、β線を放射するストロンチウムだ。『事象』から『事故』へと格上げともなれば、妥結内容の仕切り直しも否めないし、それどころか地に墜ちた国際信用の取り繕いで、貿易収支どころか自動車産業なみのポテンシャルを有するインバウンド産業にも影響を及ぼす事になる。
 商売長続きの秘訣は『正直』である。
 原子力用語だった『風評』が国際用語にならぬよう、また、これ以上の事態悪化を招かない為にも、日本は国際社会に対して正直に現状を訴え、環太平洋資源の運命共同体であるパートナー各国には、汚染封じ込め作戦の協力を要請すべきなのではないか。
 海はつながっているのである。

O.H.M.S.S.井村

No.69『地域振興と観光産業のかかわりについて2013』10月号 2013.0930

【平成25年夏休み期間7/20から9/1の44日間】44 days 7/20 to 9/1 2013 summer vacation season

 中日新聞は9/11に概観しか今年は書かなかったが、以下は三重県が9/9にまとめた今年の夏休み期間の入り込み数である。対象とする施設は(何故か)6つの『公表不可』も含めた19施設だ。
 その総合計は608万0976人。増減は118万7263人の増加で、前年比は124.3%としている。『公表不可』施設の人数も、合計には反映されている。
 この公表された13施設の合計に、『公表不可』にもかかわらず既に中日新聞が9/3に報じてしまった『志摩スペイン村』の7/20から8/31の数字を加え、内宮との重複の疑いが大きい外宮の数字を引くと248万2889人となる。総合計の半分以下だ。しかし、 更に外宮の数字を加えても313万6861人にしかならない。
 つまり、内宮よりもはるかに集客力の高い観光施設があるという事である。

ナガシマリゾート   公表不可(参考/2012年8月は142万7600人)
御在所ロープウェ  11万5378人
鈴鹿サーキット   57万4000人
津 の 海      4万4900人 前年比▲100人
ベルファーム     公表不可(参考/2012年8月は5万4159人)
五桂池ふるさと村   1万6349人 前年比▲1814人
伊勢神宮 内宮  105万2517人
(外宮は65万3972人 内宮+外宮で170万6489人)
おかげ横丁      公表不可(参考/2012年8月は49万人)
鳥羽水族館      公表不可(参考/昨年の夏46日間は17万6049人)
ミキモト真珠島    公表不可(参考/2012年8月は2万3313人)
志摩スペイン村    公表不可/37万人(9/3中日新聞)
安土桃山文化村    2万0645人
伊賀上野城      1万5925人
モクモクファーム   6万4851人 前年比▲1469人
伊賀流忍者博物館   3万7996人
赤目四十八滝     4万2440人
熊野古道センター   1万2010人
道の駅マンボウ    9万3608人 前年比▲5万4732人
お 綱 茶 屋    2万2270人
      合計 248万2889人(スペイン村を含んで外宮を除く)

 なお、お白石持ち来訪者の総人数は延べ22万6000人である。まさか神事に訪れた一日神領民までをも、行楽客と一緒くたに数えてはいないだろうな。

【ロシアへの外国人観光客】
Иностранные туристы, которые приехали в Россию
Foreign tourists to Russia

Россия теперь в Майнити симбун версия районе Токио входит один раз в месяц. 6 сентября  иностранных туристов в России 2012 был объявлен там. В 2011 году включен в нем.
В соответствии с этим, 2570469 в 2012 году. этоувеличение на 10% по сравнению с предыдущим годом.
Если да, то расчет 2011 года 2336791.
Я заметил. Россия занимает #12 Конвенции Организации Объединенных Наций. это число слишком мало. Это меньше, чем в Японии #40 !
Меня обследовали. В последней версии справочника ЮНВТО. Существует запись 22700000 человек в 2011 году. Блок 10000000. Существует также запись 20300000 человек в 2010 году. Этот тип условий "ТФ". Этомеждународные туристские прибытия на границу, за исключением однодневной поездки. Никаких других условий быть меньше, чем эта.
Мое предположение, вероятно, ошибка в блоке преобразования.
Анализ статистических цифра является очень важным. Кроме того, Россия в пользу Токио Олимпийских игр.
Я думаю, что не должен быть лишен любезности.

Russia NOW in Mainichi Shinbun Tokyo area version enters once a month. September 6, Foreign tourists to Russia 2012 was announced there. The 2011 is included in it.
According to this, 2570469 in 2012. it is an increase of 10% year-on-year.
If so, calculation of 2011 is 2336791.
I noticed. Russia is ranked #12 of the United Nations. this number is too small. It's less than the Japan of #40 !
I was examined. In Sourcebook latest version of UNWTO. There is a record of 22700000 people in 2011. Unit is 10000000. There is also a record of 20300000 people in 2010. This type conditions is "TF". It is an international tourist arrivals at the border except for a day trip. No other conditions be less than this.
My guess is, likely to have mistake in unit conversion.
Analysis of statistical figure is very important. Moreover, Russia is in favor of Tokyo Olympics.
I think should not be devoid of courtesy.

ロシアNOWは、毎日新聞首都圏版に月一で入る。9月6日にはロシアへの2012年外国人観光客数が、2011年も含めて報じられている。
これによると2012年は257万0469人。10%の前年比増である。ならば2011年は233万6791人の計算になる。
だがちょっと待てよ、ロシアは国連ランキングの12位だ。この数は少なすぎる。これでは40位の日本よりも少ないじゃないか!
国連観光機関の最新版『国際観光概観』を見ると2011年は2270万人との記録がある。1000万人の単位だ。2010年も2030万人との記録。この条件タイプは" TF "。つまり、日帰り旅行を除く国境での国際観光客数だ。これより少なくなる他の条件は無い。
ということは、単位換算を間違えている可能性がある。
統計数字の分析は非常に重要だ。インバウンドは輸出貿易である。
また、ロシアは東京オリンピックを祝福してもくれた。
礼儀を欠いてはならないと思う。

【ロシアからO.H.M.S.S.に来たメール】
Электронная почта из России, который приехал в O.H.M.S.S. 
E-mail from Russia who came to O.H.M.S.S.

Пришел ответ от главного редактора газеты Россия сейчас. Это напрямую из России.
Я, кажется, было неправильным по-видимому.
Это число, как написано, что точное число туристов Ростуризм (Россия Бюро туризма).
Она научила меня. Это число близко к Организации Объединенных Наций, Всемирной туристской.
24932061 человек в 2011 году, 28176502 человек в 2012 году. Это примерно в три раза больше Японии.
Я предложил главному редактору главного следующим образом.

Reply came from the editor-in-chief of Russia NOW. It's directly from Russia.
I seems to have been wrong apparently.
That number is written that it is the exact number of tourists Rosturizm (Russia Tourism Bureau).
She taught me. This number is close to the United Nations World Tourism Organization.
24,932,061 people in 2011, 28,176,502 people in 2012. It is about three times the size of Japan.
I suggested to the editor-in-chief as follows.

ロシアNOWの編集長から返信が来た。それはロシアから直接である。
私は明らかに誤っていたようだ。
あの数字はRosturizm (ロシア観光局)の厳密な観光客数だそうである。
総計は2011年が24,932,061人で、2012年が28,176,502人。彼女が教えてくれた数字は、国連世界観光機関の数値に近いものになる。それは日本の約三倍だ。
私は編集長に以下のように提案した。

Россию сейчас редактор Главный  2013.9012

Спасибо за ответ.

Я получил культурный шок, если честно. Статистические методы в вашей стране, является плотным, чем статистические методы Организации Объединенных Наций.
Это логично статистически.
Однако человек хочет сравнить номера. В международном сравнении, в том же масштабе необходимо.
В противном случае, он будет оцениваться меньшим недооценивать.
Так что я предлагаю. Номера для туристов также упомянуть. для японского понять.
Совет по туризму Японии, рассчитывать в качестве туриста. Даже однодневных поездок и деловых встреч. газеты от имени Японии следовать ему.
Таким образом, будет 6218752 человек в 2011 году входящие посещения Японии. Это число туристов официальных Японии. Это годы ядерной аварии и землетрясения.
В Японии, понимание числа туристов, все еще находится в зачаточном состоянии.

Russia NOW Editor-in-Chief  2013.9012

Thank you for reply.

I received a culture shock to be honest.  Statistical methods in your country, is dense than the statistical methods of the United Nations.
It's logical statistically.
However, people want to compare the numbers. in international comparison, the same scale is necessary.
Otherwise, it would be estimated smaller underestimated.
So I have propose. Non-tourist arrivals also mention. for the Japanese to understand.
Japan Tourism Board, to count as a tourist. Even day trips or business meetings. newspaper on behalf of Japan to follow it.
Therefore, will be 6,218,752 people in 2011 inbound visits Japan. This is the number of tourists of Japan official. It is years of nuclear accident and the massive earthquake.
Inbound evaluation is dawn in Japan yet.

ロシアNOW編集長  2013.9012

返信ありがとうございます。

正直言って私はカルチャーショックを受けました。貴国の統計数字が、国連数字以上に細分化できているとは。
統計学的には優れています。
しかし人間は数字を比較検討します。国際間の比較では、共通スケールが必要だと思います。
でなければ、少ない数字は過小評価されてしまいます。
そこで提案があります。日本人が理解できるように、観光以外の数字も添えてリリースしてはいかがでしょうか?
日本のJNTOは、日帰り旅行もビジネス会議も『訪日外客』としています。一般紙もです。だから震災と原発事故のあった2011年でも、日本へのインバウンドは6218752人が公式の数字になっています。
インバウンド評価は黎明期なのです、まだ日本では。

【お盆の鳥羽】Lantern Festival in Toba

 鳥羽市の調査によると、今年8/10から8/18にかけての宿泊者推計値は9万1386人だったそうだ。去年の推計値は8万5870人だったから5516人伸びている。
 市内主要七ヶ所を訪れた観光客の実数合計も9万8639人となり、前年比12.6%の増加である。
 公共交通機関による入り込み数も増えた。なかでもJRは前年比69.1%増の4440人と急伸している。No.57(『地域振興2012』10月号)に書いたが、前年は僅か2626人しかなかったのだ。マイカーも前年の2万0645台に対し、2万2838台と10.6%増えた。
 低単価傾向にある遷宮団体や海女ブームがどれだけ経済波及に貢献しているのかは不明だが、中国行きの大量アウトバウンド減が、中部や周辺経済圏の高単価客を国内旅行へと回帰させている事は確かなようだ。それは松阪市内の旅館や、旅行業者の売上高データでも確認できる。
 たとえば国内旅行の最大手、JR西日本の連結子会社である『日本旅行』の、今年上半期の営業収益は過去最高の水準となった。8/30に発表された同社の国内旅行は122億1700万円(前中間比4.0%増)、インバウンドは8億7300万円(同37.6%増)だ。アウトバウンドは約その半分の66億2400万円(同4.7%増)である。中国行きパッケージツアーの予約数増減率が、▲93.3%の大激減であってもだ。
 なお、この中国行きパッケージツアーについては最大手他社も同様で、JTBが▲68.5%、ジャルパックが▲74.7%、近ツーが▲99.0%となっている。

【バーチャルシアター】Virtual Theater

 よその都市にあって松阪市に無いもの、それは全天候型おもてなし施設と、市町村合併後のプロモーションビデオである。私は、何度か市の産業経済部長を奈良市訪問へとお誘いし、平城京歴史館を見せ、説得してきた。
 この点において市は、漸く観光戦略会議の中でバーチャルシアター設置の提案を示した。とてもいいアイデアだと思う。
 なにしろ往時の城下町の景観を再現して見せるという事は、これまで個々がばらばらに抱いていたイメージが一つとなり、市民のみならず、訪問者にも共有してもらう事ができるようになるからだ。『松阪ファン』が増えるのである。
 だが課題もある。はたして限られたスペースの中の座席数に、平城宮跡に在るような巨大五面スクリーンが入るのかどうか。また、設備投資に見合うだけのソフトウェアをどう作り込んでいくか。ただのカタログ的なものや、懐古趣味に始終すれば、飽きられるのも早い。来訪者はソッポを向いて、シアターはハコモノのレッテルを貼られる事になるだろう。求められるのは客席数に見合ったサイズのスクリーンと、観る度に新しい発見を散りばめたストーリー性である。しかもそれは、市民のみならず来訪者の共感が得られるような、客観性あるものでなければならない。
 でなければ結局のところ、ファンの裾野が開拓できない自己満足施設になるからである。

【東京オリンピック、決まったからには】 What to do, Tokyo Olympics decision 

 東京オリンピック招致にあたり、諸外国が最も懸念したのがフクシマの汚染水問題だった。政府は火消しにやっきだが説得力に乏しく、それどころか竹田理事長の口からは、「250キロ離れているから東京は安全だ」との暴言まで飛び出す始末である。これは裏返せば、フクシマは危険であるとのメッセージを国際社会に発信するも同じだ。
 折しも韓国は、このタイミングで福島周辺8県からの水産物を全面輸入禁止にした。これは「日本政府の情報は信用できない」との国際社会へ向けたメッセージである。なにしろ日本の外務省は、毎月公表してきた諸外国の『輸出入等関連措置』を7/1付以降は伏せたままにしているのだ。これでは「さては悪化したのか」と、国際『風評』を助長して当然である。
 英国も辛辣だった。無理もない、シースケール村で遺伝性の白血病が多発したセラフィールドのアイリッシュ海汚染を経験している国だ。内部被曝でアスリートたちの遺伝子が欠損しては全世界的な損失になるだろう。
 そもそも我が国では、セシウムが放つガンマ線しか主に測ってはこなかった。環境も、食品も、瓦礫も、そして人体も。
 だが、いま汚染水問題で取り沙汰されているのはストロンチウム等が放つ高速電子のベータ線である。これは日本では、ガンマ線よりも透過力は弱いとだけプレスリリースされているが、しかしこの事は外部被曝の参考程度にしかならない。なぜならば放射線荷重係数はどちらも同じで、飲食などによる内部被曝リスクはセシウム同様であるにもかかわらず、長らく日本はベータ線計測をスルーさせてきたからである。
 メルトダウン以来二年半が経過。全ては株主保護の為の潰せなかった東電に、自体収拾を丸投げにしてきたツケである。
 はっきり云って、国際社会に向けて常に事態の推移を報告、連絡、相談し、収拾協力を各国から得ていれば、もっと親日的な声も多かったのではないかと思う。

 それにしても、この『風評』なる言葉から受ける、国内外ギャップはどこから来るのだろう。これは被災地の内と外、或いは民間と霞ヶ関との間では受け止め方が異なる二枚舌ワードではないのか。
 そういえば、二年半前に原子力関連の本やテキストを山ほどかき集めた時に出会った、市の図書館にあった一冊の中に、『風評』は原子力船むつの時代から一般化した原子力用語との短い記述があった。どうりで私の持つ分厚い1972年版辞書にも記述がない筈だ。
 そこで更に調べてみると、東大の大学院社会情報学の○谷氏が『風評』容認の立場で書いた論文の中に答えを見つけた。これによると『風評』が最初に使われたのは1954年の第五福竜丸被爆事件の際に国会で初めて用いられた、原子力事故の保障問題用語だそうだ。だが当時は『放射能パニック』に取って替わるほどではなく、それから20年後の1974年、『原子力船むつ』の放射能漏れ事故に関する補償問題周辺から一般化したとある。
 『風評』を英訳しようとすると"Rumor"や"Dema"のようにはっきりしたものになる。だが実際はそうではない。常にそこには曖昧さがつきまとう。しかしそれに『被害』や『対策』をくっつけて、語意の重点を後者に移すことによって一般化に成功している。
 一体なぜ国際的にも広く通用する『デマ被害』とはしないのか、後に新事実が出た時点で権威主義に傷がつくからか。
 つまりその真の解釈は霞ヶ関だけが持つものであり、現在メディアを通じて広く被災地や国民が定義もなく使うということは、同床異夢を呼ぶばかりか、国際的にも誤解を招く危険なワードだということである。

 東京オリンピック、決まったからには国際社会に対する責任はとてつもなく重い。日本だけの理屈では開催撤回も有り得る。
 今米国では、フクシマを米国の手で収拾させよとの1億人署名が進行中だともきく。

【日本政府の国際公約】 International commitment of the Japanese government

 東京オリンピックの開催決定にかんがみ、首相は汚染水問題につき"コントロール"を確約した。
 だが、これに対する異議が内外から噴き出している。事の張本人である東電のフェローからもだ。
 これは首相にとって、まさかの"背後矢"である。官房長官は火消しに奔走するが、東電の、国際社会に対する重責回避の感はこれにより明確になった。
 政府の選択肢は二つしかないのである。

一、言論の封じ込めやフェローの交代。国益の名のもとに、戦況悪化の情報は徹底的に"コントロール"する。

二、国内外に逐一状況を包み隠さず報告、連絡、相談し、協力や支援を積極的に募る。

 前者を選択した場合、政権の面子は一定期間は保たれる。しかし発覚したら最後、オリンピック開催は危ぶまれ、株価、国債にも良くない結果をもたらす。国の信用は地に堕ち、国際的な訴訟も発生するだろう。
 しかし早い時点で後者を選択すればどうだろう。同情や共感を得る事ができ、投資も継続される。そればかりか、『国際協力による困難克服オリンピック開催』といったプロバガンダにまで持ち込む事ができる。
 さて、"いかにも21世紀らしい"選択はどちらだろうか?

【海外への情報発信】Information dissemination to overseas

 『海外への情報発信』と言うと、地域観光コンテンツの網羅的発想に陥って、それに直訳をくっつけただけのパブリシティが多い。まるでカタログである。
 だが、果たしてそんなものを見た人が、決して安くはない航空チケットを買って、はるばる日本まで旅行に出かけたいとの欲求に駆られるだろうか。
 やはり海外へと観光に出る以上、注目を集める土産話の一つや二つは欲しいのが普通である。端的に申せば、浅間山へ行ってきた土産話よりも、富士山へ行ってきた土産話の方が、帰国後の万人受けはいい。だから必然的にインバウンドは、そんなコンテンツが集中するゴールデンルートへと偏ってしまうのである。
 そこにあるのは歴然たる知名度の差、つまり既に広く共有されている情報量の差だ。ルートからの逸脱は、見知らぬ国の未知の世界なのである。
 という事は、逆説的に情報発信量を増やせばいいという事になる。これが基本だ。
 ただしコンテンツの絞り込みが必要である。それには先ずその土地のテーマ性の確立、そして、それに沿った導線とストーリーラインを作る必要がある。これは追体験を喚起する為なのだが、同時にそのバックグラウンド情報も要る。忘れてならないのは『体験コンテンツ』だ。それもカメラに収める事ができて、帰国後には友人知人に『自慢』ができる、日本にしかないものをである。
 次に大事なのは発信手段だ。昨今フェイスブック流行りではあるが、その双方向性機能は却って海外向けに広く浅くとなると使いづらい。ここはやはり海外向けのプログや動画サイト、海外のクチコミサイトへの頻繁な情報発信の方が浸透力があるように思う。
 そして、3つの国際空港からの鉄道導線情報や食文化の紹介も必要である。
 なお、優秀になってきたとはいえ機械翻訳にノーチェックは危険だ。昨年の東北観光博の際に、観光庁が世界へ向けて発信したホームページが誤訳満載で、笑い者になったのもその為である。

【農水省 諸外国・地域の規制措置 から】From "regulatory actions of other countries and regions" of the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries

①日本のすべての又は一部の食品につき輸入停止/他の食品につき証明書を要求

韓国、中国、ブルネイ、ニューカレドニア、レバノン

②日本のすべての食品につき証明書を要求

インドネシア、タイ、アルゼンチン、仏領ポリネシア、アラブ首長国連邦、イラク、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、エジプト、コンゴ共和国、モロッコ

③日本の一部食品につき輸入停止又は証明書を要求

シンガポール、香港、マカオ、台湾、フィリピン、米国、ボリビア、ブラジル、EU、ロシア

④検査強化

インド、ネパール、パキスタン、豪州、ウクライナ、イスラエル、イラン、モーリシャス

 上記は日本の農林水産省が、9月9日(月曜)現在で公開した『諸外国・地域の規制措置』からの抜粋である。
 この日は東京オリンピック開催決定(時差12時間。日本では8日の早朝)の翌日で、日本のメジャー新聞は一斉休刊の日だ。
 そして韓国が、福島周辺8県からの水産物すべてを輸入停止とした日でもある。だがこの事は、公表内容には反映されてはいない。どうやら霞ヶ関は9日以前に作成して保留していたものを、五輪開催地決定の報を待ってリリースしたようである。だから外務省も7月1日付け以来、9月30日現在、未だ更新がない。
 しかしこのような整合性を欠く行為は、国際社会に猜疑心を抱かせ、中・韓につけ入る隙を与えるだけである。
 とくに①は、ストンチウム90やトリチウムによる内部被曝を心配している。ならば率先してベータ線数値も測って、セシウム・ガンマー線の数値と共に示すべきである。既に技術的には汚染水タンクのベータ線計測結果が、僅か一日で数値化できるようになった以上、不可能ではない筈だ。
 これは『オリンピック開催予定地ニッポン』の信用にかかわる問題だからである。

① All from Japan, or some food imports stop / Require a certificate to other foods

South Korea, China, Brunei, New Caledonia, Lebanon

② From Japan require a certificate to all foods

Indonesia, Thailand, Argentina, French Polynesia, United Arab Emirates, Iraq, Oman, Qatar, Kuwait, Saudi Arabia, Bahrain, Egypt, Republic of Congo, Morocco

③ From Japan,  some food imports stop or require a certificate

Singapore, Hong Kong, Macao, Taiwan, Philippines, the United States, Bolivia, Brazil, EU, Russia

④ Strengthening inspection

India, Nepal, Pakistan, Australia, Ukraine, Israel, Iran, Mauritius

This is an excerpt from " Regulatory actions of other countries and regions".  Ministry of Agriculture, announced on September 9.
This day is the day after the Tokyo Olympics decision. (12 hour time difference. the early morning of the 8th in Japan.)  and day of suspension of the main news papers of Japan.
And further, South Korea has decided to stop the import of all seafood from Fukushima and the surrounding eight Prefectures this day. But this thing is not been reflected in the disclosed information. Apparently, wait for the information of the Olympic venue decision, residents of Kasumigaseki seems to have released the information that was already created. it is a prior information than the 9th September.
So, after July 1, the Ministry of Foreign Affairs has not yet updated, september 30
.
But act lacking integrity such, inspire suspicion to world public opinion. this would give an excuse to China and South Korea.
① is worried about internal exposure in particular. by tritium and strontium 90.
If it Japan, should measure the beta-ray to lead. Further, it should be published together with the results of cesium- gamma-ray. it is not impossible anymore. Beta-ray measurement result of contaminated water tank, can now be quantified in a day only Technically.
Because, It is because a problem related to the credit of the "Olympic venue Japan".

【投資に見合わない国(都市)にならない為に】In order to not be Country that don't deserve to investment

 9/26で中日新聞は、伊勢市が神宮参拝者を観光客としてカウントしている事と(三重県で開催されたシンポジウムの席で観光庁も、異論がある事を認めている)、福島の漁業再開について、ストロンチウムの計測は行っていない旨を示唆した。
 だが、本音と建前の狭間を行き来する島国ニッポンでは、これらのような大事も、はっきりと報じる事はできないようだ。
 しかし五輪開催決定以来、世界は注視している。人も、そしてデータベースもだ。
 国境なき記者団によると、日本の報道自由度は22位から53位へと急落しているとの事。
 投資を呼び込む信用向上の為にも、建前よりも本音の報道を願いたいものである。

Chunichi-Shimbun hinted, from getting to the September 26. the fact that the Ise Shrine worshipers, Ise city is counted as a tourist.( Japan Tourism Agency is aware that there are differences of opinion in the seat of Mie Prefecture Symposium. )
And, water industry in Fukushima was resume, but the fact that strontium is not measured.
However, The island country Japan's media to move left and right between the real intention and public stance. seems impossible to reported clearly. even the fact.
But, the world is paying attention. human, and also database. because decision Olympics country.
View of Reporters Without Borders, Freedom of the press in Japan, has plummeted to # 53 from # 22.
Readers would like to request coverage of truth than the attitude of the country.
For credit improvement of the country for investment attraction.  

O.H.M.S.S.井村茂樹